昔 悲別で
当時、私は3歳前後だったと思う
父が釣りに出かけるというので私はミミズを捕まえて父にあげた
父は時々私を釣りに連れて行ってくれたが
その日は連れて行ってくれなかった
父の車が去って行った
私が覚えているのはそれだけ
母は、父が私を釣りに連れて行ったとばかり思っていた
父は、母が私の面倒を見ているとばかり思っていた
実際は私は独りぼっちで外にいた
夕闇が訪れた
台所で食事の支度をしていた母は外で獣のような鳴き声を聞いた
「ぎゃ~お~お~お~ん、ぎゃ~お~お~お~ん」
野生の猫のような鳴き声がどんどん激しくなる
不審に思った母が外に出てみると
暗闇の中にぎらりと光る二つの目があった
その黒い物体は猫よりも少しでかいようだ
「ぎゃぁぁああおぉぉぅううぅぉぉぉおおお~ん」
目を凝らしてみて、 母は心臓が凍りつきそうになった
ドブに落っこちて全身まっ黒けの私が力の限りに声をふり絞って泣いていた
母26歳。 妹1歳半。
夢じゃなくて本当にあった話
まだ悲別(正確にいうと「昨日、悲別で 」のモデルになった街)に住んでいた時のこと
父が釣りに出かけるというので私はミミズを捕まえて父にあげた
父は時々私を釣りに連れて行ってくれたが
その日は連れて行ってくれなかった
父の車が去って行った
私が覚えているのはそれだけ
母は、父が私を釣りに連れて行ったとばかり思っていた
父は、母が私の面倒を見ているとばかり思っていた
実際は私は独りぼっちで外にいた
夕闇が訪れた
台所で食事の支度をしていた母は外で獣のような鳴き声を聞いた
「ぎゃ~お~お~お~ん、ぎゃ~お~お~お~ん」
野生の猫のような鳴き声がどんどん激しくなる
不審に思った母が外に出てみると
暗闇の中にぎらりと光る二つの目があった
その黒い物体は猫よりも少しでかいようだ
「ぎゃぁぁああおぉぉぅううぅぉぉぉおおお~ん」
目を凝らしてみて、 母は心臓が凍りつきそうになった
ドブに落っこちて全身まっ黒けの私が力の限りに声をふり絞って泣いていた
母26歳。 妹1歳半。
夢じゃなくて本当にあった話
まだ悲別(正確にいうと「昨日、悲別で 」のモデルになった街)に住んでいた時のこと