さよなら悲別 | INDIGO DREAMING

さよなら悲別

父が転職することになった。
しぼんでいく炭鉱の町の病院から賑やかな港町の病院へ。
父にとってはキャリア・アップだった。
「遠いところにお引越しするんだよ。」
「ねえ、ゆっくんにまた会える?
今川のおじさんとおばさんにもまた会える?」
「しょっちゅうは会えなくなるけどまた会えるよ。
今川のおじさんは手伝いに来てくれるから着いたらすぐ会えるよ。」
「よかった~。すぐ会えるんだね。」
今川のおじさんとおばさんは私のことをとても可愛がってくれていた。
「新しい町で幼稚園に通い始めたらお友達もいっぱい出来るよ。」
新しい町に行く不安はあまりなかった。
でもゆっくんと一緒に遊べなくなるのは残念だった。
車が発進した。
見送りの人たちが遠くなっていく。
窓から一生懸命手を振った。
「バイバイ、バイバイ、悲別」