入院 | INDIGO DREAMING

入院

熱が下がらなくて病院に連れて行かれた私はそのまま入院した。

猩紅熱だった。

隔離病棟で3週間近くの入院。

おかげで楽しみにしていた幼稚園の卒園式に出られなかった。

お星様のお遊戯に出る予定だったのに・・・

母と妹が後から荷物を持って来てくれた。

妹が「すっごく大きな注射でこわかったね~。お姉ちゃんの腕と同じ太さだったよ」と言った。

母も「よく泣かないで頑張ったね」と言った。

点滴したことなんてきれいさっぱり忘れていたのに

必死にこらえて我慢していた記憶を呼び覚まされてしまった。

家族から離れた独りぼっちの夜。

寂しかったのは家でも同じだったけど

それに輪をかけて寂しくて退屈だった。

毎朝、舌をチェックしに来てた看護婦さんが

「もうそろそろ退院だよ」

と言ってくれ、お風呂に入る許可が出た。

病室から薄暗い廊下をつたって独りで入る 初めての人影のないお風呂。

お化けが出そうで怖かった。

シャンプーハットがないから、気をつけて洗った。

シャンプーが目に入って泣いても誰も気がついてくれないのだから。

北国の3月はまだまだ寒かった。

細谷 亮太
小児病棟の四季