海の使者 | INDIGO DREAMING

海の使者

青く輝く海。

私は茶色い木をくりぬいた細長いカヌーでひとりその海の上を漕いでいた。

私の肌の上にはとても暖かい日差しがふりそそぎ、さわわやかな風が髪をくすぐる。

海といってもほとんど波はなく、カヌーは穏やかに海上をすべるように進む。

海はおどろくほど透明で、きらきら光るさざなみの下にゆらめく珊瑚のじゅうたんが、一面に見渡せる。珊瑚礁はカヌーの下から1メートルほどのところにひろがっているのでとても浅いところを漕いでいるような安心感があった。

海はいくつかのテリトリーにわかれていたようだ。
私は何かの理由で別のカヌーに乗った人と共に少し遠い村にいくことになる。

しかし、そこへ行くには危険をおかさなければならない。
敵のテリトリーを通って行かなければならないのだ。

そこで私たちはやはり敵に見つかってしまい射撃される。

敵の襲撃をなんとかかわすものの、よけすぎて海路を誤ると突然大きな流れに巻込まれることになるので巧みな櫂さばきが必要だ。
その流れはますます急になり、突然滝のように落ち込むのである。

海なので岩や谷底にぶつかるわけではないが、そのすさまじい水量の流れにはまれば、カヌーは転覆し、そしてひとたまりもなく砕け散ってしまうかもしれない。

私はなんとかその流れにのまれずにすみ、一心不乱に村へと急ぐ。

早く・・・早く・・・

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日本から海外に引っ越す直前の1997年5月に見た夢



野田 知佑, 藤岡 牧夫
笹舟のカヌー