INDIGO DREAMING -18ページ目

結婚指輪紛失事件

結婚指輪は3年目にして紛失した。
紛失事件などと書くと今は戻って来たように聞こえるかもしれないが、今も紛失中である。

エンゲージリング とダブルでつけられるように流線型にカットされた金の指輪。

思い出した時に言ってみる。

「ねえ、もうなくしてから5年にもなるんだからさ~、いいかげんに代わりのを作ってよ!」


その度に金がないだの面倒くさいだの、なんだかんだと理由をつけられてうやむやにされる。

最後には「なくしたのは僕のせいじゃない!」「いーや、あんたがなくしたんだよ」っと責任のなすりつけあいとなり、決着のつかないまま時が過ぎる。

そしてまたしばらく指輪のことは忘れる。この繰り返しを過去5~6年続けている。


なくしたのは、合気道の道場でだった。

うっかり指輪をはめたまま道場に行ってしまったある晩、練習が始まる直前に指輪をはずして夫に預けたのである。

夫はジーパンのポケットに指輪を入れて、更衣室に向かった。

家についてみたらポケットの中にはエンゲージリングしかなかった。

翌日、道場のあたりをくまなく探し、管理人にも問い合わせたがついに帰らぬ指輪となった。

なくした張本人は夫だが、原因は私にある。
これが、決定的にどちらか一方の責任だったらツライところだろうが、我が家の場合、紛失も共同作業だったので、ケンカもどことなくヘラヘラしている。

だいたい指輪などというアクセサリー類は私にとってはブタに真珠であった。
結婚するまで指輪をはめたことがなかった私は、指が重くて重くて「こりゃあ、えらいこっちゃ」と内心思っていたくらいだから。

今、私の指は独身生活を謳歌している。



著者: トミー植松
タイトル: 英語の迷信エッセイ事典―結婚指輪の由来からスポーツ選手のジンクスまで

序章 - 出会い

その男を見た瞬間、直感で「この女たらしめ」と思った。

甘いマスクから漏れる笑顔のだらしなさ・・・

この金髪碧眼ハンサムはいったいどれほど多くのナイーブな日本女性を喰いものにしてきたのだろうか?

そう思うと腹立たしくなった。

「よし、このオレ様がウブな日本女のカタキとっちゃる!」

私の中の小悪魔が頭をもたげる。

「やめときなよ。相手はきっと恋愛ゲーム百戦錬磨の大人だよ。
経験のない私がからかってちょっかい出す相手じゃないよ。近づかない方が身のためだよ。」

もう一人の慎重な私が警告する。

「でも~、あの鼻持ちならない笑顔!あれは絶対ばかな尻軽女にちやほやされて鼻の下がのびきってる顔だ!この大和侍魂がだまっておれぬ~!」

まだ会話したこともないのに、見た目の第一印象でここまで決めつける私の思い込みも激しすぎるが、私の直感は当たるのだ。

金髪碧眼だというだけで母国ではごく普通の凡人がちやほやされてしまう驚くべき島国、日本。
それでちょっとでも美形だったら・・・推して知るべし。

事実、彼は日本に来てからというもの、会ったその日にHしてくれる女に恵まれすぎていてすっかり感覚がイカれて溺れきっていた。
(情報源→うちの夫)

私はこんな男に戦いを挑んでしまったのである・・・・ 若気の至り。

こういう自意識過剰男は、気のない振りでつーんと無視すればいいだけだから、振り向かせるのは簡単だったけど、さて、そっからどうすればいいの?(だからやめとけっちゅーのに)

そいつは近づくべきでない相手だったけど、ある程度近づかなかったら私は今の夫に出会えなかった。

虎穴に入らずんば虎子を得ず。(幸い虎には噛まれずにすんだ、ふぅ)

彼は私の人生において大切なキューピッド役を演じたのだ。

私は真っ暗闇の虎穴に入った時に小石につまづいて転んだ。

転んだはずみで、大切に抱えていた荷物を落として壊してしまった。

「キャリア」と「恋愛」という名の二つの荷物を・・・・

一生懸命バランスをとって、休み休み歩くほど重たい荷物だと思ってたのに、落としてみて初めて中身が空っぽになっていたことに気がついた。

転んで全てを失って痛い思いをしたけれど

その時、転んだ場所で触れた柔らかくて暖かいものが私の心を和ませた。

その柔らかいものに顔をうずくめてひとしきり泣きながら

「求めていたものはこれなのかも・・・・」と私の直感が問いかけた。

そして、その暖かいものを支えに再び立ち上がった。

転んでもただでは起きない女。

それが私。

虎穴から出て来て見たら、戦利品は虎子じゃなくて虎の棲み家に居候してた老いぼれねずみだったんだけど・・・。

こんなの要らな~い 

と一時は捨てかけたが、真っ暗闇の中で感じた直感を信じることにした。

老いぼれねずみ夫と猫女の私、まだ仲良くやっている。

女ったらしの虎男も今では腹違いの2児の父親。

私は、自分の直感を信じる。


著者: スーザン ラビン, バーバラ ラゴウスキー, Susan Rabin, Barbara Lagowski, 白川 貴子
タイトル: 出会いの達人―目からウロコ!心理セラピストが語る、女と男「誘い」の極意

イースター・ホリディ

イースター・ホリディは車で3時間くらいかけて山に遊びに行ってきた。

ガソリン代はイースターの一週間前から見事に跳ね上がっていた。

まったく石油会社は抜かりがない。来年こそは事前に買ってポリバケツにためておこうと誓い合うがまたきっと忘れるだろう。

赤信号で待たされるたびに寄付の集金につかまる。
ゴールドコインがあっという間に消えて行く。

ホリディに行くことが出来る私たちより恵まれていない人たちは沢山いる。

上を見てもきりがないが、下を見てもきりがない。感謝の気持ちを持たなければ・・・



目的地は義姉家族の別荘地。知り合いの肉屋さんから買った30エーカーの元牧場。

といってもまだ家は立っていないので家族や友達みんながヘビが出る草ぼーぼーの野っ原にテントはって野グソの世界である。


2年前に遊びに行った時のことを思い出す。

夜中にちょうどいい茂みと思っていた場所が、朝起きてみたら巨大な牛の屍骸の横でおしっこしていたことを知って愕然としたっけ。


あの牛は・・・まだいた。すっかりカラカラになって骨と皮だけになっていた。ホントにすごいレザーだ。

今回また野グソはしたくないしシャワーも浴びたいので、私たちは近くのモーテルに泊まった。チェックインしたら部屋にルームサービスのエッグチョコが2つ置いてあった。

トイレに入って戻ってきたら、既に1個なくなっていた。夫め!


義姉家族の土地には小川も流れていて絶好のピクニック場。甥や姪の友達やその友達、近所の人など初対面の人達も集まってきて、一緒にサッカーをしたり、本を読んだり、焚き火を囲んで語り合ったり、のんびりまったりとした時間をすごす。


昨日の夕食は、近所の人が飼っていた子羊。巨大なキャンプ用無水鍋に野菜のぶつぎりと一緒に入れられ焚き火でことこと3時間。

豪快な食事はわくわくする。 ごめん、メリーさん


食事のあとはそれぞれがお気に入りの木の枝をさがしてきて、先端にマシュマロをさして焚き火の上で半分とろかして食べる。

こっちでは焚き火といえば焼きマシュマロなのだ。


夫の手と口がせわしなく動き、もう誰にも止められない・・・・


日曜日のイースター・サンデイは家族みんながチョコレートで出来た卵やウサギやアヒルなどを贈り合う。子供向けの安チョコをもらってはしゃいでいる大人が一人。

夫がダチョウサイズのエッグチョコを頭で割ってむしゃむしゃと一気食いしながら私に訊く。

「日本でもイースターのチョコって売ってる? 物好きな日本人だったらイースターのいろんな凝ったチョコ造って売り出しそうだけどなぁ」

うーん、確かに言えてるけど聞いたことないなぁ。

こっちではチョコレート業界にとってイースターが一年のうちで一番のかき入れ時なのだが、最近の日本ではどうなのだろう?

ハロウイーンも私が日本にいないうちにいつの間にかすっかり商業路線に組み込まれているようだし、イースターもそのうちわかんないね。
著者: トマス ベルガー, ペトラ ベルガー, Thmas Berger, Petra Berger, 松浦 賢, 松浦 利子タイトル: イースタークラフト

年の差なんて

彼との年の差は7才。

私のようなじゃじゃ馬は、手のひらで遊ばしてくれるような寛容な大人でないと相手はつとまらないだろうなと思う。

まあ、実年齢より精神年齢の問題だけど。


7つの年の差はぜんぜん気にせず、彼にいつも生意気な口をきいているが見かけの年の差はちょっと気になることもある。

だいだい西洋人から見ると東洋人は普通でも年よりかなり若く見られてしまう。

東洋人からみると西洋人の年をきいて「えっ、こいつ実年齢はこんなに若かったのか?」とびっくりすることが多い。

7つ違いの若白髪だらけの西洋人の夫と薄っぺら体型の私をこちらの人がみると、15、いや下手したら20くらい違うカップルに見える。

ロリコンオヤジが貧乏なアジアの国から子供をさらってきたように思われてるんじゃないかって時々心配になる

赤い靴~、はーいてた、女の子~

ひぃ爺さん(もとい、異人さん)に連れられて行っちゃった~

この歌をつい口ずさんでしまうのはなぜ?



著者: 山崎 まゆみ, 年の差恋愛研究会
タイトル: もう、「同世代」の男を愛せない!

アーティストの無収入副業

昔の情熱がふつふつと甦り、どうしても抑えることが出来なくなった彼は、夢を再び追いかけることにした。

本業が足踏みして在庫たまり放題だし

という事情もあったとは思うが、夢を実現させるには年齢的にも今動かないと手遅れと思ったようだ。

(もうとっくにリーチかかってると思うんだけど・・・)

彼の夢とは



プロのミュージシャンになること


あのな~

それは第二の収入源でなくて、貧乏アーティストの二乗というのではないのか?

と腹の中で思ったが、彼はマジで真剣なので何も言えない。

機材購入費用だ歌のレッスン費用だって・・・人生最後の挑戦を応援してあげたいから出したけどさ。

(私ってなんて太っ腹)



彼にとっては音楽も「自己表現」の手段なのだ。

つまり本業と同じ路線。

大衆受けしなさそうなオリジナル曲が次から次へと出来ていく。

才能あるとは思うよ。昔ギターの家庭教師やってた位だから指さばきも見事だし・・・。

毎晩毎晩、妻が発狂寸前になるまで練習してるしね。
お茶の水でねぎって買って来た宝物のマーティンD28カスタムモデルで・・・・・

でもね、ここでクラブやレストランでちょっと演奏してお小遣い稼ごうと思うんだったら、ノリのいい曲とかみんなが知ってるカバー曲とかもやらなきゃいけないでしょ。BGM待遇に甘んじなければならないことだってある。


ところが彼の場合、メッセージ性の強い短調の曲ばかりつくって聴衆に静かに聞いて欲しいと願うのだ。

場所と聴衆を選り好みする無名ミュージシャン。


自作CDまで作っちゃって・・・・売れるのか? ホントに。


著者: ヴィンテージ・ギター編集部
タイトル: マーティンD-28という伝説

無収入記録更新中

といっても彼は無職なわけじゃない。(当然失業手当もなし)
私の夫は毎日規則正しく8時間働いている。
作品が売れないから在庫資産が増えていくだけ。

アーティストの収入が不安定なのは当たり前のこと。
私が定期収入を持ってこればいいだけのこと。

彼の収入はボーナスだと割り切ればいい。
その時に家のローンの返済が少し早まると思えばいい

っと思っていたが・・・

うちのボーナスは一年に2回も来ない。

前回家のローンの繰り上げ返済をしたのはいつだろう? (ついでだけど、この国は賃貸する方が高い)

もう3年以上も前のような気がする。
その間全く売り上げがなかったわけではないが、コストと税金を引いたら利益はゼロに近かった。

彼のせいではない(と思う)
景気のせいだ

9.11テロのあとはパッタリ売れなくなった。
どこかで戦争がある時は高価な芸術品は売れないという話を聞いてなぐさめにする。
在庫資産は増えているのだから。(保険代がよけいかかるよ~)

この間も、展示会で売れなかった作品が海外から返品されて来た。
売れないだけでも十分痛いのだが、売れないと返品コストまでかかるので泣きっ面に蜂である。
自分が買ったものじゃないのに、けっこう高い輸入税を支払わないといけないのだ。(高価な価格がついてしまっているので)
自分の売れ残り作品を引き取るためにこんなバカな話があるだろうか。
一度、税関と激しく口論してブラックリストに載せるぞと脅された。

彼に働きに出ろとは口が裂けてもいえない。
一度もオフィスで働いた経験のない人間である。
サラリーマンの彼なんて想像することもできない。

会社でストレスを貯める人間は私一人で十分だから。
彼にはいつも家で待ってて私を癒す存在であって欲しいから。

でも、あまりにも売れない期間が続くと彼も自信をなくしていじけてくる。

見かねたケビン義兄が自分のビジネスが忙しくなって来てアシスタントが欲しいんだけど・・・と助け舟をだしてくれた。
一週間に一日でも二日でもかまわないと。

なんて優しいんだ、ケビン義兄ちゃん。

しかし、うちの夫はこうのたまったのだ。

「本当はいやだけど、君が働いて欲しいって言うなら一週間に一日働きに出てもいいよ。それで少しでも君の負担が軽くなると思うなら働くから言ってくれ」

一週間に一日の労働でなんでこんな恩着せがましい言い方されなきゃならんのじゃ?私が仕事辞められるわけじゃなし。

「私に頼まれたってことをイヤイヤ働く理由にして欲しくないのよね。
自分が働いて家計に貢献したいと思うなら自主的に働けばいいし、イヤなんだったら自分の好きにしなさいよ。どっちにしても私の負担は変わりません!」
(素直に頼めばいいのに私のプライドが許さない)

そして、彼は自分の好きにした。
無収入記録更新中

今、彼は第二の収入源を求めて精力的に副業に打ち込んでいる。
私にはどう見ても金のかかる趣味にしか思えないのだが・・・

その副業とは・・・


つづく



著者: 橋本 治
タイトル: ぼくらの資本論―貧乏は正しい!

トゲのある女

私はトゲのある女。

心の奥底の弱みを数えきれない棘で覆う誇り高きバラ


といってもブーケに使われるハイブリッド・ティーというガラじゃあないので
センティフォリア種あたりか。(おい、いてぇよ)


「自分がバラ」などと自己チューな私が言っても全然説得力がないので横でまだ寝てる彼に聞いてみる。


「ねぇねぇ、私って花に例えたら何だと思う?」


「ん? うーん、トゲのあるバラ」 (ほうほう)


「で、どんな種類のバラ?」


「うーん、あちこち伸びて手に負えない野生のつるバラ」(当たってるかも・・・)



「じゃあさ~、動物に例えたら何?」


「んー、ネコ」(簡単すぎるニャ、そのままだから)


「どんなネコ?」

「んー、何でそんなこと聞くの? 何の意味もないでしょ」(寝ていたい)

「いやぁ、ただ聞いてみたいから」


「手に負えないネコ」(眠い)



「じゃあさ~、食べ物に例えたら何?」

「んー、んー、んー、収穫し忘れてサヤがごわごわに固くなった豆(なんじゃそりゃ?)


ここで彼が身を寄せて聞いて来た。

「ねぇ、君はどんなLover?」

やべぇ、こいつ起きた。

「うーん、死んだ魚



著者: 岸田 今日子
タイトル: 岸田今日子自作選「棘のある小さな花束」[CD]

食器棚はオーダーメイド

お下がり家具ばっかり の我が家だが、実はオーダーメイドしたものもある。(エンゲージリング だけじゃないのだよ)

それは上の写真の食器棚。

学生時代に使っていたものが使いやすくて気に入っていたのだが、これといったものが見つからない。

そうこうしているうちにクリスマスの季節になった。

サンタさん(義父のこと)の出番である。

夫の父方の家は代々、職人肌の家系。

ひい爺ちゃんは教会のタペストリーなんかを彫る人だったらしい。

彼の爺ちゃんも婆ちゃんに(今、我が家にある)化粧台を作ってたようだし、彼の父親もエンジニアでDIYはお手のもの。

そういうことで図画用紙に希望の寸法のデザインを描いて、好きな色を指定しておいたらクリスマスにちゃんと届いた!

70過ぎの齢で無理しないでくれよと思っていたのだが、ちゃっちゃっちゃっと作っちゃって元気印をアピールしてくれた。

でも最近はさすがにそこまでの元気はなくなって来たのでこの食器棚が最後のプレゼントとなりそうな予感である。


ところで義父は鉄道オタクである。

義父のガレージにはミニチュアの線路が張り巡らされていて電車が走っている。

私の両親に会いに義父母が日本に来てくれた時は、鉄道で日本横断旅行をして楽しんだ。
プラットホームに立った瞬間、目がキラキラ輝き出して小学生みたいだった。

私の小学校時代の宝物D51のミニジグソーパズルを額に入れてプレゼントしたらとても喜んで家に飾ってくれた。


メーカー: トミー
商品名: プラレール ライト付き D51 蒸気機関車 S-28

30万円で修士号取得

一昨日の晩は卒業式に行って来た。通信教育でとった修士号を受け取りに。
思えば長い道のりだった。

言葉の不自由な外国で満足な職にもありつけず、私の欲求不満はつのるばかり。

「もうこんな屈辱的な仕事やめたい。頼むからやめさせてくれ~。」

「ねえ。お願いだからもうちょっとがんばって。家のローンだってまだこんなに残ってるし・・優良企業で働けるだけでもまだ恵まれてると思わなきゃ!」

と、どこかの中年オヤジとその妻みたいな会話を何度くりかえしたことか。(立場逆だけど)

英語力が足りないからってジュニアのやるような仕事にしかつけず、おまけに脳ミソのない人間のように扱われるのはプライドの固まりの獅子座女には堪え難いことだった。

日系企業に働く同年代の駐在員と比べたら4分の1くらいの安給料にももちろん不満であったが、その給料だってやらされてる仕事内容にしてはもらいすぎと言えなくもなかったので居座るしかなかった。

通信教育の勉強はそんな私の自尊心をなんとか保つための逃避と、一日2時間の電車通勤時間を有効活用するために始めたようなものだった。

でもお金ないし。もともとケチだし。入学してみてやっぱりついていけなくて途中で挫折するのはいやだし。

そこで、NHKの人間大学みたいのを見つけて単科履修することにした。
一科目の受講費8万円程度はきつかったが、4科目とれば論文書かなくても修士号もらえると思えばそれなりのお得感はある。
(ただし、取得してもキャリアアップに役に立たないだけでなく、職探しではかえって足かせになるようなマイナー文系コース)

こうやってフルタイムの学生だったら1年で終わるコースをちんたらと4年もかけてやっと卒業にこぎつけた。
最後の年には仕事関連の勉強ということにして税金控除の申告をするという悪知恵もついた。

もう勉強しなくても良くて一番喜んでいるのは、夫だと思う。

学生時代に英語(彼にとっては国語)が一番苦手な科目だったのに、私が書いた小論文の文法チェックを毎回やらされていたのだから・・・

「もういやだよ、勘弁してくれよ。何で締め切りぎりぎりにもってくるんだよ。こんなにいっぺんに読めないよ。
僕は英語が一番苦手だったんだよ。今も読み書きが苦手なんだから。」


「お願い。あんたが読み書き不得手なのはわかってるけど、
ネイティブに直してもらったように見えないからちょうどいいのよ~。
今年はもうこれで終わりだから。来学期は何もとらないから。ねっねっ? 」


こんなわけで、1年に1学期1科目だけという超スローペースで勉強せざるを得なかったが、毎学期やってたら体力気力も生活費も夫婦仲も持たなかった。

知っている人が誰もいないので、出席するかしないか迷った卒業式。

でも結局は行ってみて良かった。

Eメールで何度かやりとりしただけの教員達とは会わずじまいだったが、クラスメートには初めて会うことができた。
通信教育の孤独感や今までの苦労をわかちあい、お互いのゴール達成を喜び合った。

「ねえ、あんたの卒業式もこんな感じだった? 昔と同じ?」

カメラマンとしてムリについて来てもらった彼に聞いてみる。

「知らないよ。出なかったもん。」

「えっ? せっかくの自分の卒業式に出なかったの? 」

「うん。だって、そういう固っくるしいこと大嫌いだから・・・」

この男・・・・・ここまで頑なであったか。


著者: 宮本 雄一郎
タイトル: 学ぶ社会人がめざす大学院・大学・短期大学通信教育ガイド〈2005年版〉

マリッジ・ブルー

結婚するって決めたのに、やっぱりちょっと確信できない気持ち。



マリッジ・ブルー


私も経験した。

収入がないのは別にして、彼がいい夫になることはわかっていた。

私が、人生のどん底にいた時に側にいてくれた男。

私の一番醜い部分を見ても見捨てなかった男。

これからどんなことがあってもこの人は私を見捨てることはないだろう。

でも、もう一人の自分が、ちょっと安易すぎやしないか? っと問いかける。

後ろめたい最大の要因は

彼にときめかないこと

妹に悩みを打ち明ける

「ねぇ、ホントに結婚しちゃっていいのかな。
あのさ~、胸キュンが全然ないんだよね、胸キュンが・・・」

まだシングルの妹があきれたという表情で切り返す。

「そんなこと言ったって・・・みんなどうせ冷めるんだから、始めっから冷めてても別にいいんじゃないの?」

妹よ。

今まで、いつも泣き虫のウェットな子だと思ってたけど、私に似てドライなところもあったんだね。

感心したよ。

じゃ、やっぱり結婚することにするわ。


著者: 山田 邦子
タイトル: マリッジ・ブルー